2015年6月20日土曜日

今日のクロイワ 27 [中島斌雄]  / 黒岩徳将


鐡橋に蟹に五月の雨が降る   中島斌雄

隣に「犬も梅雨瓦礫の中に徑がある」とあり、言うまでもなく掲句も梅雨の句。

初めに大きな景→小さな蟹の横歩き、という演出がニクい。そして、蟹へのそこはかとない親しみも感じる。

第二句集「光炎」から引いた。

甘い措辞が少し俳句的ではないのだろうか、いや、この少し甘すぎる感じが作家性なのでは、と思わせてくれる句集だ。自分と同じくらいの年代の俳人に読ませて感想を聞いてみたい。